会津漆器
会津の地に本格的に漆工芸が根付いたのは、天正十八年(一五九〇)豊臣秀吉の命を受けて会津の領主となった蒲生氏郷公が産業として奨励したことによります。
氏郷公は前の領地であった日野(滋賀県)から木地師(きじし)や塗師(ぬりし)を呼び寄せて先端技術を伝授させます。これによって会津塗の技術は飛躍的に進歩を遂げ、漆の栽培から加飾(かしょく)までを一貫して手がける一大産地となっていったのです。江戸時代には会津藩の藩祖・保科正之(ほしなまきゆき)公が漆の木の保護育成に努め、また、歴代藩主が技術革新に熱心に取り組み、中国、オランダなどへも輸出され、隆盛を迎えます。
しかし、幕末の戊辰戦争(ぼしんせんそう)において会津漆器は壊滅的な打撃を受けてしまいます。戊辰の戦火によって焼け野原と化した会津の復興は、会津漆器の復興でもあったのです。明治の中期には、会津は日本有数の漆器産地としてその名を再びとどろかせるに至っています。四百年という時を超えて生き抜いた伝統の技の上に、常に最新技術を積極的に取り入れ会津漆器は現在まで成長を続けています。
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